研究内容
道路の階層化とサービス水準に関する研究
円滑な道路交通社会を実現するためには、個々の道路が有すべき機能に応じた計画・設計により、階層型道路ネットワークへの再編が必要であると考えられます。
しかし我が国の道路における旅行速度は、高速道路と一般道路で2極化しており、その間を埋める中間速度層が欠落していることが課題となっています。
本研究室では、我が国の現状の道路ネットワークについて、達成し得るサービス水準に関する分析を基に、中間速度層を実現するための道路構造等の条件について研究しています。
道路空間の効率的な利用に関する研究
通行機能が期待される道路では、一定の旅行速度水準が求められます。しかし都市部の多車線道路では、信号交差点や沿道出入り車両の存在により旅行速度が低下している現状があります。
一般に、車線拡幅や交差点立体化により旅行速度の向上は期待できますが、予算制約や用地制約を伴うため簡単ではありません。
<信号交差点密度と旅行速度の関係>
<信号交差点の多い多車線道路の例>
(環状七号線 東京都杉並区内)
本研究室では、既存の道路空間の中で円滑性の向上を図る方法として、緩速車線を用いた交通運用策について提案し、その有効性や適用範囲について、交通シミュレーションを基に検証しています。
<シミュレーションの例>
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▲ 現状
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▲ 緩速車線導入後
信号交差点における飽和交通流率に関する研究
信号交差点の計画・設計において飽和交通流率は重要な値となります。わが国における飽和交通流率の基本値は1984年に定められ、現在も使用されていますが、近年ではドライバーの属性や走り方、さらには自動車の大きさや性能が変化しており、このような状況の中で飽和交通流率の基本値も変化していると考えられます。 本研究室では、飽和交通流率の基本値に相当する値の変化やその要因について研究しています。また、その他にも地域特性などに着目した研究も行っています。
<飽和交通流率の変化の実態>
<飽和交通流率の調査の様子>
高速道路の渋滞現象に関する研究
高速道路の渋滞は、交通容量が相対的に低い「ボトルネック」が原因で発生します。このボトルネックの交通容量は、同じ地点であっても必ずしも同一の値とはならない、すなわち、同じ交通量であっても渋滞する場合としない場合があることが知られています。 本研究室では、この交通容量の変動要因として、ドライバー個々の運転挙動の変化に着目し、運転するときの疲れなどに起因する運転挙動の変化が交通容量に与える影響について感知器データや現地調査を使って分析しています。
<感知器データによる渋滞状況の把握>
ラウンドアバウトの計画・設計に関する研究
ラウンドアバウトは平面交差部の制御方式の一つで、円滑性・安全性に優れていることから海外では広く普及しています。日本においても、平成26年の道路交通法の改正により「環状交差点」が新たに定義され、今後の普及が期待されています。
しかし、我が国ではラウンドアバウトの経験が少なく、研究も十分ではありません。
<フランス ナント市のラウンドアバウト>
本研究室では、ラウンドアバウトの導入効果に関する研究や、現地での調査や車両挙動の分析を通して安全な設計方法に関する研究を行っています。
その他
- 自転車の走行空間に関する研究
- 都市間高速道路の渋滞現象に関する研究
- 大型車の乗用車換算係数に関する研究